「生まれた所や皮膚や目の色で いったいこの僕の何がわかるというのだろう」
というとても印象的なフレーズが耳に残るザ・ブルーハーツの名曲「青空」。
ザ・ブルーハーツの5枚目のシングルであり、3rdアルバム「TRAIN-TRAIN」からのリカットになっています。この曲はたくさんの人にカバーされていたり、曲名が実は”あおぞら”じゃなかったり、かつて南アフリカであった人種隔離政策であるアパルトヘイトについて歌っていたりといろいろとエピソードがあるので、紹介してみたいと思います。
作詞作曲と収録曲
青空は1989年6月21日に発売されたザ・ブルーハーツの5枚目のシングルです。収録されている曲と作詞作曲は以下の通り。
曲名 | 作詞作曲 | 備考 |
青空 | 真島昌利 | |
平成のブルース | 真島昌利 |
どちらもマーシー作詞作曲の曲になっています。B面の平成のブルースは10分を超える超大作です。このシングルもしくはアルバム「スーパーベスト」で聴くことができます。
また、このシングルは、カセットと8cmCDで発売されました。ただ、見本盤としてEPレコードも実は存在しています。ジャケットはカセットや8cmCDと同じデザインです。
ジャケットの右下には赤丸の中に「6月21日発売 CDシングル&シングルカセット PRMOTION SINGLE」、またその下にNOT FOR SALEという文字が記載されています。
曲名は”あおぞら”ではない・・・!?
皆さんはこの曲のタイトルである「青空」をなんと読んでいますか?
おそらくほとんどの方が「あおぞら」と読んでいると思いますが、実は作詞作曲したマーシーは「あおいそら」とつけたそうです。初耳の方も多いかも知れません。しかし、メディアでは「あおぞら」として紹介され、「あおいそら」は浸透せず、今日に至ったようです。(ちなみに、ヒロトも「あおぞら」と言っています)
歌詞とアパルトヘイト
ブラウン管の向こう側 カッコつけた騎兵隊が インディアンを撃ち倒した ピカピカに光った銃で できれば僕の憂鬱を 撃ち倒してくれればよかったのに
生まれた所や皮膚や目の色で いったいこの僕の何がわかるというのだろう
こんなはずじゃなかっただろ? 歴史が僕を問い詰める
まぶしいほど 青い空の真下で
印象的な歌詞の多い青空ですが、実はこの曲は、アパルトヘイトのことを歌っていると言われています。
アパルトヘイトとは、かつて南アフリカ共和国で1948年から1994年まで法律に基づいて施行されていた人種隔離政策です。具体的にどのようなことが行われていたかを簡単にですが記載してみます。
まず、法律で全国民を白人、黒人、カラード、アジア人と、4つの人種に分類しました。みんな同じ人間であるのにも関わらず。そして、その分類によって何が起こったかというと、住む地域や使える公共施設、できる仕事が人種によって決められる、違う人種同士では結婚ができない、非白人は国政の投票に参加できない、人種によって教育水準も異なるといった数々の差別が生まれてしまいました。
この非人道的な政策は国内外で批判を集めるものとなり、最終的には全人種の参政権を認めた憲法が1993年に採択、1994年に施行、そして有名なネルソンマンデラ大統領の就任により、アパルトヘイトは終焉を迎えることになりました。
2024年の今となっては、昔の話、昔あった人種隔離政策ですが、「青空」が発売された1989年は、まだ現在進行形でアパルトヘイトがあった時代でした。ブルーハーツのライブでは、ヒロトが「自分で考えて、自分で意見を持って欲しい」と言ってから「青空」を歌っていることからも、この歌はアパルトヘイトについて歌われており、こうした問題に関心を持って欲しい、TVや雑誌とかの情報だけに踊らされるのではなく、自分で調べて考えて自分の意見を持って欲しいという願いも込められているのではないかと感じます。
アパルトヘイトについては簡単にしか触れられていませんが、関心のある方はインターネットでもたくさん情報がありますので、調べてみてください。
数々のアーティストにカバーされている
青空は10人以上の人にカバーをされています。代表的な人でいくと
シンガーソングライターのmiwaさんや片平里奈さん、熱い弾き語りの男 竹原ピストルさん、俳優であり歌も上手な菅田将暉さんなどです。また、ローリング☆ガールズというアニメでは、声優さんたちによってカバーされた青空が挿入歌として使われていました。いろいろなバージョンの青空が存在しているので、気になる方はぜひ聴いてみてください。
本家の青空
最後に、せっかくなので、本家ザ・ブルーハーツの青空をはっておきます。
何度聴いてもいい曲で、管理人もブルーハーツをさらに好きになった思い出の1曲です。
また、この青空とシングルでのカップリング曲である平成のブルース、他にもリンダリンダやTRAIN-TRAINを聴くことができるベストアルバムも紹介しておきます。
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