メジャーデビュー前に自主制作(インディーズ)で出したシングルレコード。1987年2月25日に発売されました。のちに、ドラマ(3ピースで有名な人にやさしく)や映画での主題歌や挿入歌になり、CDでの再販もされています。
収録曲と作詞作曲
タイトル | 作詞 | 作曲 |
A面 人にやさしく | 甲本ヒロト | 甲本ヒロト |
B面 ハンマー(48億のブルース) | 真島昌利 | 真島昌利 |
ブルーハーツが好きな方なら、言わずもがなどちらも知っている曲かなと思います。
それぞれの曲の豆知識について、管理人の知っている限りになりますが、次の段落から紹介してみたいと思います。
人にやさしく
ザ・ブルーハーツの前に、甲本ヒロトが所属していたバンド、ザ・コーツの後期に作られた楽曲です。
完成した当初のタイトルは「がんばれの歌」で、3番目の歌詞が決まっておらず、初披露のライブでは「らーらーらー」だけで歌われていました。
ザ・コーツ時代にヒロトは既に、人にやさしく、NONONO、ロマンチックといった後にブルーハーツで演奏される曲を完成させています。当の本人はこれらの曲をブルーハーツで演奏する気はありませんでした。しかし、マーシーが「これはザ・コーツの曲じゃなくて、甲本ヒロトの曲だろ?」と説得したことで、ブルーハーツでも歌う気になったようです。(マーシーありがとう)
ヒロトは、ザ・ハイロウズになってから出た音楽番組で、司会者から「リンダリンダやるの?」と聞かれて「リンダリンダやりません!」と宣言してから、過去のバンドの曲は本当に演奏していません。(オフィシャルではない場では例外あり)その信念の強さの片鱗は、上のエピソードからも感じられる気がします。
話を戻して、”人にやさしく”は、「気が狂いそう」という衝撃的な歌詞から始まって、
人は誰でも くじけそうになるもの あぁ 僕だって今だって 叫ばなければ やりきれない思いを あぁ 大切に捨てないで やさしさだけじゃ 人は愛せないから あぁ なぐさめてあげられない 期待はずれの 言葉を言う時に 心の中では ガンバレって言っている 聞こえてほしい あなたにも ガンバレ!
思わず共感してしまう、励まされる歌詞が続きます。何回聴いたことか・・・。
「頑張れ」という言葉が、重たくなってしまったこの時代だけど、この曲を聴く度に
「頑張れ」という言葉の持つ力強さ、優しさを感じずにはいられません。
パンクロックは怒りや抵抗が根源のジャンルでもあるため、当時はそのパンクロックに「頑張れ」という言葉を乗せること自体が、かなりの衝撃だったようです。スピッツのボーカルである草野さんも、この曲に打ちのめされて、目指していたパンクロックの道を変更したほどでした。リスナーにとっても、プレイヤーにとっても、雷に打たれたような1曲だったのかもしれません。
ちなみに、ドラマ「人にやさしく」と名前が同じで、ブルーハーツが同ドラマの主題歌も歌っているので、この曲が主題歌だと思われがちですが、違います。ドラマ「人にやさしく」の主題歌は「夢」です(♪あれもほしい、これもほしい、もっとほしい、もっともっとほしい♪という歌詞が「夢」)。
ハンマー(48億のブルース)
ハンマーといえば、強烈な印象を残すのは、目が覚めるようなマーシーのしゃがれ声で歌われるこの部分。
外は春の雨が降って 僕は部屋で一人ぼっち 夏を告げる雨が降って 僕は部屋で一人ぼっち
衝撃すぎて、初めて聴いた時はしばらく動けませんでした。
「夏を告げる雨が降って」の部分は、レコード化する際に書き足された歌詞であり、ライブ映像などを見ていると、「外は春の雨が降って」を2回繰り返しているのも確認できます。
ちなみに、48億のブルースの48億は当時の世界の総人口だそう。80億人を突破している今となってはこの48億という数字は、時代を感じます。
余談ですが、個人的に、Queenの Hammer to fall から着想を得たのかなと感じています。
It comes to you as to us all みんなと同じように 君のところにもやってくる We're just waiting 僕らはただ待っているだけ For the hammer to fall ハンマーで振り降ろされるその時を 山本(2012)クイーン全詩集 より "Hammer to fall"
曲調は全然違いますが、こちらもかっこいい歌なので、よかったら聴いてみてください。
人にやさしくが作られてから、30数年が経とうとしていることがとても驚きですが、いくら時代が変わっても、人の心に響き続けるこの曲の力は永遠(です!)なのだろうなと感じます。
思いついたことをただただ書き連ねるページになってしまいましたが、レコード「人にやさしく」(に収録されている2曲)の紹介でした。
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